腫瘍促進因子


がん治療に関心の無い方でも、「インターフェロン」という用語は耳にした事があると思います。
インターフェロンはB型肝炎・C型肝炎の治療剤として知られていますが、抗がん剤としても使用されています。
当サイトは、がん治療における説明義務違反を批判する事に特化したサイトであり、インターフェロンの肝炎に対する治療効果を否定するつもりは全くありません。
ここで述べるのは、あくまで抗がん剤としてのインターフェロンである事をご了承ください。


抗がん剤として使用されているインターフェロンは以下の3種類とされています。


いずれの添付文書にも、発癌性の警告が見当たりません。
インタビューフォームによると、3剤とも変異原性において陰性とされています。
この事は、細胞毒性型の抗がん剤と比較して対照的です。
インターフェロンは非発癌物質と考えるのが妥当なら、 患者さんに対する発癌リスクの事前説明も不要という事になります。
しかし、インターフェロンに対する発癌性試験の実施が不十分なら、非発癌物質と判断する事はできません。
抗がん剤の投与による抗腫瘍作用は、発癌作用によるものと考えるのが妥当なら、発癌を助長する可能性がある事は伝えなければなりません。
発癌リスクを極力、回避したいと望まれるであろう、がん患者の心理を思いやれば当然ではないでしょうか。
このページではインターフェロンを例に、変異原性、がん原生が陰性であっても、発癌物質で有り得るという出典を明示します。


インターフェロンはサイトカインと呼ばれる物質の一種とされています。
サイトカインとは、

 

サイトカインは種々の細胞から分泌される生理活性を持つ高分子のタンパク性の物質の総称である。
(中略)
サイトカインは、細胞増殖、発生、分化、細胞の生存および死、機能発現など多彩な細胞応答を制御し、免疫系の制御や炎症反応、組織のホメオスタシス(恒常性)の維持に重要な役割を果たしている。
それらのサイトカインに応答する細胞は、それぞれのサイトカインに対する受容体を発現している。


『放射線および環境化学物質による発がん―本当に微量でも危険なのか? 』 医療科学社 (2005年) 161頁
独立行政法人放射線医学総合研究所名誉研究員
佐渡敏彦

 

サイトカインは、主に免疫系の細胞から分泌され、細胞間の情報伝達を担うとされています。
免疫細胞はサイトカインによって相互に依存し合いながら、免疫バランスを保っているとされています。
これは、サイトカインネットワークと呼ばれています。
免疫細胞は病原体を認識すると、初期攻撃を行うとともに他の免疫細胞の活性化を促すサイトカインを分泌し、連動して病原体を攻撃します。

 

免疫システムは、病原体の侵入に対して、それを認識し、様々な形で攻撃し排除するよう機能しますが、様々な細胞群がその過程に関与し、そのネットワークの形成には、種々のサイトカインや細胞接着による情報の受け渡しが必要です。
病原体が排除されれば、すみやかに定常状態あるいは休止状態に復帰します。


臨床研ニュース
『プロジェクト研究成果報告 サイトカインプロジェクト』 1頁
プロジェクトリーダー 宮武昌一郎
(財)東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所
ISSN 0914―0735 第373号
(平成20年7月号)平成20年7月15日発行



サイトカインの一種である、インターフェロンを人工的に生産したものが、抗がん剤として実用化されています。
インターフェロンは抗がん剤の種類において、BRM(生物学的応答調節剤)に分類されます。
BRMとは、

 

生体の免疫防御機構の増強をはかり、腫瘍に対して直接的、間接的に抑制効果を発揮する薬剤である。
サイトカインとしては、インターフェロンINFα・β・γ)やインターロイキン(IL)-2などが実用化されている。


『がん化学療法の有害反応対策 ハンドブック 第3版』
(2002年) ㈱先進医学社 110頁
埼玉県立がんセンター名誉総長 吉田清一

 

インターフェロンは投与によって、免疫細胞が活性化し、抗腫瘍性サイトカインの分泌が促され、抗腫瘍効果が得られると考えられています。
しかし、これはサイトカインネットワークにおける免疫バランスを人為的に操作しようとするものであり、抗腫瘍効果と引き換えに、その後のバランス維持を困難にする可能性があります。

 

免疫システムの過剰な、あるいは持続的な活性化は、組織や臓器の傷害をもたらし、それがさらに活性化を誘導するという悪循環にいたり、自己免疫疾患などの炎症性疾患が発症します。


前出 臨床研ニュース
『プロジェクト研究成果報告 サイトカインプロジェクト』 1頁

 

インターフェロンが投与されると、高確率で発熱が引き起こされます。
免疫バランスの不安定化によって「炎症性疾患が発症」すると考えられます。

 

インターフェロン投与時における発熱の発生頻度

医薬品名(商品名)

出典

症例数
発現数
頻度

インターフェロン・アルファ(イントロン)


イントロン インタビューフォーム
2012年11月 改訂 第7版 45頁
製造販売元 MSD㈱

7,544
5,563
73.74%

インターフェロン・ベータ (フェロン)


フェロン インタビューフォーム
2012年5月 改訂 第12版 60頁
製造販売元 東レ㈱
販売元 東レ・メディカル㈱
販売提携 第一三共㈱

5,380
3,873
71.99%

インターフェロン・ガンマ (イムノマックス)


イムノマックス インタビューフォーム
2013年1月 改訂 第8版 35頁
製造販売元 塩野義製薬㈱

319
268
84.0%


インターフェロンの投与によって活性化された免疫細胞は、種々のサイトカイン産生が誘導されます。
その中には炎症性を有するサイトカインが存在し、炎症反応を惹起する要因となります。
免疫システムにおいて重要な役割を担う、マクロファージと呼ばれる免疫細胞は、活性化によって炎症性サイトカインの産生が誘導されます。

 

炎症反応は,その始まりから終結に至るまで,炎症に関わる細胞群の産生する種々のサイトカインによって制御を受ける。
中でも炎症反応の初期にマクロファージによって産生されるTNF-a (Tumornecrosis factor) は,炎症性サイトカインの中でもサイトカインネットワークの中心に位置し,炎症を増幅させる働きを持つとされている。


『ヒガンバナ科アルカロイド,リコリン及びリコリシジノールによる炎症性サイトカイン,TNF-a 産生の阻害』
公益社団法人日本薬学会 日本薬学会刊行学術誌
YAKUGAKU ZASSHI 121(2) 167―171 (2001) 167頁


サイトカインは相反する二面性を有するとされています。
TNF-αは分類において、抗腫瘍性サイトカインであり、炎症性サイトカインでもあるとされています。
炎症性サイトカインは抗腫瘍作用を有する一方、腫瘍成長を促進する作用も有します。

 

サイトカインは一般的に炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,IL-15,IL-17,IL-23,TNF a)あるい抗炎症性サイトカイン(IL-4,IL-1O,IL-13,TGF β,IFN a)として分類されることがある。
一般的に,高レベルでの炎症性サイトカインへの曝露は腫瘍形成的であると考えられている。
たとえば,TNFαは腫瘍促進作用が確証されている炎症性サイトカインである。
(中略)
IL-6は腫瘍成長を促進するもうひとつの炎症性サイトカインである。
IL-6 は多くの癌において腫瘍形成性が指摘されており,マウスモデルにおいて大腸炎関連の大腸癌に不可欠であることがわかっている。


『炎症と癌』 3頁
常翔学園 摂南大学薬学部 病理学教室
http://www.setsunan.ac.jp/~p-byori/

 

発癌には二つの要素が必要とされています。
一つは、発癌のきっかけとなる発癌イニシエーター(発癌イニシエーション作用)。
もう一つは、発癌を促進する発癌プロモーター(発癌プロモーション作用)。

 

発がんの2段階説

イニシエーション:起始, 発がんの引き金というべき初期の反応.
プロモーション:促進, 発がんにおいてイニシエーションによって生じた初期の変異細胞からがん細胞が出現し、増殖を促進する段階.


前出『放射線および環境化学物質による発がん―本当に微量でも危険なのか? 』 46頁

 

炎症性サイトカインは、発癌プロモーション作用を有すると考えられています。
インターフェロンによって、マクロファージなどの免疫細胞が活性化されると、IL-1 , IL-6 , TNFαなどの炎症性サイトカインの産生が誘導されます。


医薬品名
(商品名)

薬理作用

出典

インターフェロン・アルファ
(イントロン)

 

免疫系への作用
ナチュラルキラー(NK)細胞及び単球(マクロファージ)を活性化させ、腫瘍細胞に対する細胞障害性を高めることが認められた。

※マクロファージによる産生 IL-1 , IL-6 , TNFα
※NK細胞による産生 INFγ, TNFα


イントロン インタビューフォーム
2012年11月 改訂 第7版 21頁
製造販売元 MSD㈱

インターフェロン・ベータ
(フェロン)

 

抗腫瘍作用
本剤の抗腫瘍作用の発現機序については、腫瘍細胞表面に結合し、その増殖を抑制する直接作用と、宿主を介して腫瘍免疫系を活性化することにより、腫瘍の増殖を抑制する間接作用とが考えられている。

※27頁の図において、マクロファージ、NK細胞、T細胞の活性化が示されている

※マクロファージによる産生 IL-1 , IL-6 , TNFα
※NK細胞による産生 INFγ, TNFα
※T細胞による産生 INFγ, TNFα


フェロン インタビューフォーム
2012年5月 改訂 第12版 27頁
製造販売元 東レ㈱
販売元 東レ・メディカル㈱
販売提携 第一三共㈱

インターフェロン・ガンマ
(イムノマックス)

 

作用部位・作用機序
腫瘍細胞に直接作用し細胞増殖を抑制する作用と共にヒト末梢血リンパ球に作用してナチュラルキラー(NK)細胞活性の増強作用,抗体依存性細胞障害活性の増強作用,マクロファージの活性化等の免疫反応を介した間接的な腫瘍細胞障害作用が報告されている。

※マクロファージによる産生 IL-1 , IL-6 , TNFα
※NK細胞による産生 INFγ, TNFα


イムノマックス インタビューフォーム
2013年1月 改訂 第8版 19頁
製造販売元 塩野義製薬㈱


マクロファージ、NK細胞の活性化によって産生されるサイトカインの種類は、(山口大学メディア基盤センター 『感染防御と自然免疫』 微生物学教室 助教授 鈴木春巳 10-11頁)を参照させて頂きました。

投与によって産生される、IL-1 , IL-6 , TNFαは炎症性サイトカインであり、発癌プロモーション作用を有すると考えられています。
投与によって産生される、INFγ(インターフェロン・ガンマ)は、マクロファージ、NK細胞を活性化し炎症性サイトカインの産生を誘導します。

インターフェロンは投与によって、炎症性サイトカインの産生を著しく誘導するものであり、発癌プロモーターの可能性があります。

中期発がん性試験と呼ばれる毒性試験は、発癌プロモーション作用を検出可能です。
しかし、インターフェロンを含め、抗がん剤に対しては中期発がん性試験が実施されておらず、BRM(生物学的応答調節剤)には発癌性が明らかにされていない薬剤が複数存在します。
発癌リスクの回避を望む患者さんを思いやるなら、インターフェロンは発癌プロモーターなのか、検証が必要です。


製薬会社はインターフェロンの中期発がん性試験を実施しなさい!
( -д-)ノ ゴマカサレンゾー

医師はインターフェロンの発癌リスクを患者に説明しなさい!
o(*≧д≦)o

 


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