がんの促進


基本的に抗がん剤の添付文書には「劇薬」または「毒薬」の記載があり、発癌性の警告が明記されています。
もちろん、有用性の高さによって「劇薬」、「毒薬」の投与が必要とされる事はいうまでもありませんが、化学療法においてそれを正当化するには、発癌リスクの事前説明が必須であり、添付文書の記載はその根拠となります。
しかし、少数ではありますが、明らかにリスクが懸念されるにも関わらず、発癌性を警告する記載が見当たらない抗がん剤もあります。
イリノテカンは、そのひとつです。
カンプト、トポテシンなどの商品名でも販売されており、CPT-11という略称で表される事もあります。
このイリノテカンが、他の多くの抗がん剤と同様の性質を有している事を示す、添付文書の記載を引用します。


適用上の注意
調製時

本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。
皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。


抗悪性腫瘍剤 劇薬 処方せん医薬品
イリノテカン 添付文書 2011年12月 改訂 第6版 4頁
販売元 日本化薬㈱
製造販売元 マイラン製薬㈱

 

種々の変異原性試験で陽性を示す抗がん剤は細胞毒性型であり、イリノテカンも遺伝毒性を有すると考えられます。
ならばイニシエーション作用を有し、プロモーション作用も有しているということができます。
このページでは、がんを促進するプロモーション作用が、炎症の持続によってもたらされる事を明らかにします。
抗がん剤の多数が殺細胞作用を有し、これが体内で炎症を持続させ、がんの促進に繋がるという出典を明示します。


抗がん剤は一般に細胞を殺す作用(殺細胞効果)を有することが特徴であり,治療域の幅が狭いです。
(中略)
一般薬には殺細胞効果はなく,細胞選択性もあり,治療域の幅が広く,副作用が少ない。


『がんの化学療法と看護 No.02』
看護に役立つがん化学療法の知識 4頁
有吉寛(県立愛知病院/院長)
提供:ブリストル・マイヤーズ㈱
企画・発行:株式会社 協和企画
2003年2月作成 コード:CN002

 

殺細胞作用を有するからこそ、医療関係者が抗がん剤を取り扱う際には、バリアプロテクションの徹底が指導されています。
「薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流」さないと、付着部位が壊死する恐れもあります。
壊死とは、

 

生体内での組織の死を壊死(necrosis)という。
(5頁)

壊死では組織や細胞が高度な障害作用を受けた結果,機能が破綻,停止し,本来の形態構造も壊滅する。
(6頁)

壊死に陥った組織は生体にとってはもはや異物である。
(7頁)


『新体系看護学全書 別巻 12 病態と診療の基礎』
(2007) ㈱メヂカルフレンド社
東京大学名誉教授、虎の門病院名誉院長 小坂樹徳

 

壊死は、発症時の疼痛が極めて強いとされています。
抗がん剤を投与した際、血管外に漏出すれば、強度の炎症性によってもたらされる壊死や様々な症状が表面化します。


化学療法中には0.5~6.5%程度の頻度で抗がん剤の血管外漏出が起こっているといわれています。
どの抗がん剤でも,血管外漏出により局所の壊死を起こす可能性があります。
(中略)
他覚所見では,初期には発赤腫脹がみられ,局所の炎症の進行に伴い水疱形成,硬結,潰瘍,壊死などが起こります。
(中略)

...激しい疼痛や,潰瘍による身体的,精神的影響からQOLが低下したり,感染を起こしたりすることもあります。


『がんの化学療法と看護 No.07』
がん化学療法と症状管理 血管外漏出 2-3頁
小澤桂子(NTT東日本関東病院看護部)
提供:ブリストル・マイヤーズ㈱
企画・発行:株式会社 協和企画
2004年3月作成 コード:CN007

 

「炎症の5大徴候」と呼ばれる臨床症状があります。
「発赤」、「発熱」、「腫脹」、「疼痛」、「機能障害」とされており、血管外漏出時に、これらの症状が現れている事が上記の資料から読み取れます。
体内において抗がん剤の影響を受ける部位は、強度の炎症性に晒される事になります。
抗がん剤の投与が長期間少量投与で継続されるならば、いずれ慢性炎症となり得るでしょう。
この「慢性炎症」が、がんを促進します。


近年、慢性炎症が続いていた臓器では、細胞中のさまざまな遺伝子に異常が生じてくることがわかってきた。
すなわち、慢性炎症にさらされた上皮細胞の遺伝子にはゲノム異常が蓄積し、あるレベルまで異常が蓄積した細胞が次々とがん細胞に変貌していくものと推定されている。
(14頁)

がんは炎症起因性の疾患とも位置づけられることから、炎症・免疫系をがんとの関わりにおいて理解し、その応用を目指すことは極めて重要である。
(16頁)

特に慢性炎症は発がんのプロモーターとしてがん細胞の増殖・浸潤・転移を促進し、がん化を助長すると云う証拠が提出されている。
(18頁)


文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究
『発がんスパイラル』 News Letter Vol.1 2011.10

 

現在、がんの発生メカニズムは、多段階のプロセスを経て発癌に至ると考えられています。


多段階発がん

1段階目は、発がん物質(イニシエーター)によって細胞の遺伝子が障害を受け変異を起こす段階(イニシエーション作用)とされ、
2段階目は、プロモーターと呼ばれる物質や他の発がん物質による作用で障害を受けた遺伝子を持つ細胞が増殖する段階(プロモーション作用)とされます。
(中略)
2段階目以降に、再度遺伝子に障害等を受けた場合、細胞は「がん化」します(プログレッション作用)。
一旦がん化した細胞は、そのままでは正常細胞に戻ることはありません。


厚生労働省 ホームページ
『アガリクス(カワリハラタケ)を含む製品に関するQ&A』
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060213-1.html
2013年4月17日確認

 

既知変異原として研究用試薬に利用されるような物質は、強力な発癌イニシエーターであるということができます。
ごく少量の連日投与で慢性炎症を引き起こす物質は、強力な発癌プロモーターであるということができます。
イニシエーターを投与後、プロモーターの投与を継続的に受け続ければ、細胞は「がん化」するでしょう。


抗がん剤の投与は多剤併用療法が中心であり、その中にイニシエーター、プロモーターの薬剤が含まれるのは必然的です。
多剤併用療法に組み込まれている薬剤のほとんどが、細胞毒性型の抗がん剤であり、遺伝毒性を有し、両作用をあわせ持つと考えられる事は先に述べたとおりです。
また、分子標的薬を含むBRM(生物学的応答調節剤)は、投与によって炎症性サイトカインの産生を著しく誘導するものがあり、プロモーション作用を有する可能性があります。


イリノテカンも併用投与が推奨されています。
併用投与によって腫瘍縮小率が劇的に向上するならば、それはメリットといえるでしょう。
デメリットはその反動といえるでしょう。


 

併用注意
薬剤名等
機序・危険因子
他の抗悪性腫瘍剤
放射線照射
併用により殺細胞作用が増強される

 

抗悪性腫瘍剤 劇薬 処方せん医薬品
イリノテカン 添付文書 2011年12月 改訂 第6版 3頁
販売元 日本化薬㈱
製造販売元 マイラン製薬㈱
※併用注意を警告する表の一部を改変引用

 

製薬会社はイリノテカンの発癌リスクを添付文書に明記しなさい!
( -д-)ノ バレテルゾー

医師はイリノテカンの発癌リスクを患者に説明しなさい!
o(*≧д≦)o

 


がんの誘発がんの発端