推進派への反論


前述した船瀬俊介さん執筆の書籍、『抗ガン剤で殺される』(花伝社 2005)は賛否両論、大きな反響をよびました。
『抗ガン剤で殺される』によって、添付文書の存在と化学兵器起源を多くの方々が知ったとするなら、その点は評価されるべきだと思います。
ただし、繰り返しになりますが、本のタイトルを含め、問題点の多い書籍でもあります。
特に、標準的ながん治療に対する批判を、代替医療推奨や陰謀論に結びつけようとする主張は根拠薄弱であり、説得力がありません。

一方、化学療法推進派が、がん専門医の説明義務違反にあたりうる行為を問題視しないスタンスにも違和感があります。
『抗ガン剤で殺される』に対する推進派の批判は、説得力を感じるものが多い中、違和感のある意見もみられました。
その意見とは次のようなものです。


「船瀬さんが添付文書で示した抗がん剤は古い」
「昔の抗がん剤には問題があったが、今の抗がん剤は進歩していて、副作用も、副作用死も、ほとんど無い」


これまでの患者さんが置き去りにされるような事があってはならず、この意見に対して三つの問題点を指摘します。


第一点、「問題があった」「昔の抗がん剤」が、これまで大勢の人に使用されてきたという事実。
その問題には、発癌リスクについての説明義務違反も、多数含まれています。
昔から使用されてきた抗がん剤に「問題があった」のであれば、被害者の数は膨大です。
「問題があった」にも関わらず、問題を起こした当事者が、被害者である患者さんやご家族に対し、何ら説明責任を果たしていない現状は、問題があります。


第二点、「問題があった」「昔の抗がん剤」が現在も使われており、これからも使われ続けるのであれば議論があってしかるべきです。


第三点、「今の抗がん剤」が、副作用も、副作用死も、ほとんど無いのであれば、それは更なる長期間少量投与を可能にします。
「今の抗がん剤」が発癌物質であれば、「昔の抗がん剤」よりも発癌リスクを上回る可能性があります。
当サイトメニュー、「長期間少量投与」で引用した世界保健機関の文献によれば、「化学発癌は曝露期間の長さに依存する」とあります(生物・化学兵器への公衆衛生対策 WHO ガイダンス ISBN 92 4 154615 8 (LC/NLM 分類:QV 663)第2版 2004年 40頁)。
「今の抗がん剤」に対して、種々の変異原性試験、がん原性試験、中期発がん性試験が適正に実施され、全て陰性との結果が公表されない限り、発癌リスク上昇の可能性を否定できません。


以上、三点です。

 


長期間少量投与魔法の弾丸