血液毒性


抗がん剤の多くが血液毒性を有しており、投与によって骨の中に存在する骨髄にダメージを与え、造血機能を障害し、骨髄抑制とよばれる有害反応を引き起こす事があります。

 

骨髄抑制はほとんどの抗がん剤に認められる副作用で,なかでも顆粒球減少による感染と血小板減少による 出血などの合併症は,ときに生命の危険を伴うことがあります。
(中略)
骨髄抑制とは,何らかの原因で骨髄が障害され, 血球成分が減少する状態をいいます。
(中略)
抗がん剤は, がん細胞だけでなく正常細胞にも影響を及ぼします。
特に細胞分裂の活発な組織が影響を受けやすく, 骨髄はその代表です。
その結果,造血機能が障害され,顆粒球,血小板,赤血球の減少が起こります。


『がんの化学療法と看護 No.04』
がん化学療法と症状管理① 骨髄抑制 2頁
清水美津江(埼玉県立がんセンター看護部)
提供:ブリストル・マイヤーズ㈱
企画・発行:株式会社 協和企画
2003年7月作成 コード:CN004


骨髄の中には血液を造る、造血幹細胞が存在し、骨髄がダメージを受ける事によって、正常に血液を造る事ができなくなります。
この血液毒性によって免疫細胞が減少するに留まらず、白血病などの血液がんを誘発する原因となる事もあります。
前述したTS-1の添付文書には、血液がんの誘発を警告する記載があります。

 

本剤を投与した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。


代謝拮抗剤 劇薬 指定医薬品 処方せん医薬品
ティーエスワン 添付文書
2012年9月 改訂 第26版 4-5頁
製造販売元 大鵬薬品工業㈱

 

誘発された血液がんが白血病であるなら、それは治療関連性白血病とよばれます。
治療関連性白血病はTS-1に限らず、他の抗がん剤でも発症する可能性があります。

 

治療関連性白血病は,1次悪性腫瘍に対して行われた化学療法,放射線療法によって誘発された白血病のことで、
(中略)
...他にも,従来は白血病誘発作用が弱いとされていた5-FU 剤などの代謝拮抗剤,シスプラチンなどの白金製剤,タキサン系薬剤でも発症することが報告されており...


『TS-1を用いた胃癌術後化学療法開始後早期に発症した急性骨髄性白血病の1例』 29頁
日消外会誌40(1)2007年 症例報告 八木斎和

 

先に引用した文献にあるように「骨髄抑制はほとんどの抗がん剤に認められる副作用」ならば、ほとんどの抗がん剤が血液がん誘発作用を有する可能性があります。

 

薬物起因の血液毒性として,赤血球減少(貧血),顆粒球減少,血小板減少,凝固異常,骨髄異常増殖白血病等,さらに,3 系統(赤血球系,顆粒球系および巨核球系)の造血不全を伴う汎血球減少が知られている。
血液毒性は,造血器(主に骨髄)における造血障害と末梢における血球の破壊から誘発される。


創薬 シリーズ(3)その3
化合物を医薬品にするために必要な安全性試験⑨
血液毒性
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)132,(2008) 343頁
岩瀬裕美子,筒井尚久

 

血液毒性による血液がん誘発作用、遺伝毒性による誘発癌作用。
基本的に抗がん剤は、この両方の誘発癌作用を有するものと考えられます。


医師は血液毒性による発癌リスクも患者に説明しなさい!
o(*≧д≦)o

 


魔法の弾丸遺伝毒性